匂いの話 グラース・ジャスミンの香り
匂いは記憶を呼び起こしたり、感情を左右するものですね。何故でしょうか?
それは、匂い刺激は本能の脳(大脳辺縁系)に最初伝わり、そこから視床下部を介して、自律神経系、内分泌系、免疫系へと作用してゆきますので、とても化学的な生理現象だからです。
花の匂い・・・フランス人に優秀な創香師(調香師)が多いのですが、彼等はジャスミンの花の香りが最高だと言います。
この花から抽出したエッセンシャルオイルは、20世紀香水の傑作と言われる”シャネル5番にも配合されています。
しかもシャネルの5番には・・・
しかもシャネルの5番にはグラースのある契約農家で採れるジャスミンの花しか使用されません。採れる場所が違うと香りが異なるからです。
また、白い花は色付きの花より目立たない分、受粉を助ける昆虫たちに見つけてもらう目的から、色付きの花より良い香りのエステル類を多く含んでいる事が多いです。匂いは自然界のコミュニケーション物質=言葉ですから。
私たち人間も出会った瞬間知らぬ間に、相手の”匂い”からかなり多くの免疫情報等をキャッチしているそうです。特に男女の場合、自分と違う免疫系をもつ異性を選ぶのだとか・・・より丈夫な子孫を残すための知恵なのだそうです。
ところで、ジャスミンの匂いをかいだ事、ありますか?この匂いには二面性があります。甘く美しい側面と、臭い糞尿の匂い。ところが、この糞尿の匂い(インドール、スカトール)をジャスミンが含んでいるからこそ、芸術的な香水の香りを形成する事が出来るのです。
この発見は香水の歴史の中で20世紀最大の発見とされています。
参考図書:フランス香水の旅 松井孝司著
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