ニュージーランド香り旅5
1憶2千年以上前に原始大陸から切り離されてから1億年以上も南太平洋の孤島だったニュージーランドは、独特の生態系と多くの固有種が存在し、手つかずの大自然が残る国。
ここでしか見られない原生植物が多く生息しています。
今でも森林が太古のままに残され、見た目は枯草なのに生きているイネ科のタソックや、100年に30㎝しか伸びないログパイン、葉っぱが小指の先ほどしかない小さな葉のブナの木など、古代種の植物が生い茂る中に原始鳥たちが生息しています。
国内で見られる花の、約80%がニュージーランド固有種といわれます。
そんなニュージーランドのアロマテラピー(植物療法)は、18世紀以降の移民者が持ち込んだイギリスから受け継いだものに加え、自生する植物を使った独自のスタイルがあるようです。
今回の旅でどうしても見たいと思う植物と精油がありました。
Manuka/マヌカです。ニュージーランド原産の植物で、精油は皮膚と神経の守り神とも言われます。
学名:Leptospermum scoparium フトモモ科
背が低く耐久性のあるマヌカの木は、マオリ語でKahikatoa(勇敢な戦士の意)といい、養分の少ない場所でも根を広げてたくましく育つことから、マオリ族に男子が生まれると「マヌカの木の様にたくましく育つだろう。」と、その子の誕生を祝うそうです。
皮膚と粘膜の抵抗力を高め、細胞を活性化させて再生させると言われます。
また、心の抵抗力を強くし、「敏感に」反応しすぎる時に心のバランスを整える香りとして使用されます。
香りの印象は、木と土の深い香り。
治療特性は、口内炎、皮膚のかゆみ、内出血、真菌症、アレルギー、花粉症緩和に役立ちます。
トリケトンを含み、オーストラリアのティートリーよりも抗真菌作用が高いというデータもあります。
また、18世紀後半、ニュージーランドにやって来たイギリス人のキャプテン・クックは、マヌカの葉をお茶にして飲み、ビタミン不足による壊血病を予防したことから、NZのTea Tree(ティートリー)とも呼ばれています。
南島、世界遺産のフィヨルドランド国定公園へのゲートウェイ、テ・アナウの街は、
世界一の散歩道、ミルフォード・トラックへのトレッキングに出かける人達が必ず立ち寄る場所ですが、この街のインフォメーションセンターの棚にありました。
テ・アナウから先、ミルフォード・サウンドへ向かう国道沿いで、どこまでも続くマヌカの原生する姿を見かけました。
湖や海岸線に沿って、さらには活火山地帯など養分の少ない土地でも生育します。
現地ガイドから聞いた話です。19世紀後半に入植したイギリス人は、牧畜農業を盛んにしようと、原生植物を次から次へと駆逐しそこに牧草を植え羊を放牧飼育。
大半の原生植物が姿を消す中で、ただ一つ、頑丈で生命力あふれる植物があったそうです。
それが、マヌカ。
入植者たちは最後の手段として、強力な真菌類を輸入しマヌカに付着させましたが、それでも枯れることはありませんでした。
ミルフォード・トラックのウェットランド・ウィークで真菌と戦い黒く変色しつつも共生している状態がこの写真です。
ところで、ミルフォード・トラックやルートバーントラックなどのトレッキングを楽しむ際の必需品があります。
これです。現地薬局で販売している「INSECT REPLLENT(虫除けスプレー)」
植物油と精油で出来ているオーガニックな製品。
世界中から訪れる人のほぼ100%の人がブユ(ブヨ)のような虫、
「サンドフライ」対策の為、現地で購入する虫除けスプレーが、これです。
「日本のものは効かない、地元の薬局で購入せよ。」とのアドバイスがガイドブック地球の歩き方に掲載されているくらいです。
私も、ミルフォード・トラックでその虫に遭遇しましたが、このアロマで虫除け!
お陰様で刺されることなく無事帰還。
これに刺されるとものすごく長い間痒みに悩まされる人もいて、腫れ上がることもあるそうです。
この虫除けオイル、。
内容成分は植物油6種以上(ココナッツ、ホホバ、小麦胚芽、アボカド他)、
それと、精油2種(レモンバームとゼラニウム)。
天然成分で作られています。
$15/100mlです。
実は、私がNZのアロマ事情に興味を持った切っ掛けがこのアロマ虫除けスプレーでした。教えてくださった友人に感謝です。
太古の森を歩きながら植物と出会い、植生の神秘と不思議の話を聞き、
地球は人間だけのものではなく、生きとし生けるもの全てのものであることを実感しました。
このニュージーランドの大地に人類で初めてマオリ族がやってきたのが約千年前。それ以前から植物はそこで暮らしていたのです。
私たちは地球の長い歴史の中の「流れ」の一つであるという実感。
植物も動物も人間もみんな同じ生命体であり、
同等の存在であることを強く感じました。
*
私が森を歩いている最中、ずっと追いかけてきてくれた小鳥。
Funtail(ファンテール)。体長16センチ・体重35gほどのスズメ目ヒタキ科の可愛い鳥。
この小鳥は、その名の通り尻尾をパタパタさせてすばしっこく飛びます。
なので、写真に収めるのは至難の業。
実は「ブヨ」を餌にしています。
人がいるところに「ブヨ」が集まることをちゃ~~んと知っている。
おりこうさん。
もしかしたらこの子のおかげで、私は「ブヨ」に刺されずに済んだのかもしれません。
・・・つづく・・・
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