「追い風用意」という言葉をご存知でしょうか?
「通り過ぎた後に良い香りが漂うように、衣服にお香をたきしめておくこと」を表現しており、「香り」をたたえる言葉です。
これは、鎌倉時代末期、1330年代に完成したとされるエッセイ『徒然草(つれづれぐさ)』の中で、「追い風用意」と表現され、強すぎず、弱すぎず、奥ゆかしい香りは身だしなみの一つとされていました。
亀田縞の匂い袋「追い風用意」の名前の由来は此処から来ています。
私が、匂い袋を作ってみようと思い立ったのは、知り合いのお香の先生から匂い袋をいただいたことが切っ掛けとなりました。
名刺ケースに入れて使ってみたところ、龍脳や丁子、白檀の奥ゆかしい香りが心地よく、名刺に残る移り香により初対面の人との会話も弾みます。
「これは、いい、すばらしい。」と、心ひかれ、お香教室へ自然と足が向きました。
そこで、白檀等の天然のお香とラベンダーのブレンドを試みました。

素晴らしいマッチング。
「これは、多くの皆さまに喜んでいただけるに違いないと・・・」
すぐに何種類かサンプルを作り新潟・ラベンダー物語会員の皆さんにお試しいただき簡単なアンケートを取りました。
今回は、一番人気だったBブレンドを採用!
白檀の分量が大変多い豪華な内容です☆

昔ながらの調合における伝統を守りつつ、新潟産のラベンダーを加え、香りを調和させました。
只今、デビューの5月7日に向けて桐箱の中で熟成中です。
使い方にもよりますが、革製の名刺入れに入れてご使用なされば、香りの持ちは約1年半~2年程、大変長く楽しめます。

(香木 白檀)
ところで、日本の香り文化は「お香」という形で広まりました。
奈良時代の終わりから平安時代の初めころには「空薫物(そらだきもの)」として、優美な香り文化が発展していました。
貴族たちの間では、自分の香りを持っていて現代の私たちよりも香りのお洒落を楽しんでいた様子です。
闇夜の中男女が逢う時、その香りによって相手がだれかを判断していた…そのような場面は『源氏物語』の中にも見られます。
個のお香をいくつか組み合わせて小さい袋に閉じ込めたものが 「匂い袋」の始まりです。
香りを楽しむ他にも、防虫、抗菌効果もあるとされ、古来から日本人に馴染みのある携帯品ということで、
約600年前、一休禅師(一休さん)は、「香十徳」という漢文を日本に紹介しました。
簡単に言えば「お香の効能」という意味ですが、現代にも十分通じると思いますので、此処で紹介します。
*感格鬼神 全ての人を魅了し
*清浄心身 身も心も美しくする
*能除汚穢 けがれ、よごれをぬぐい
*能覚睡眠 心地よき目覚めを誘う/眠りを誘う
*静中成友 心を癒し安らぎをもたらす
*塵裡偸閑 忙しい時にくつろぎを与える
*多而不厭 多くあっても重宝し
*小而為足 わずかでも満足を与える
*久蔵不朽 長期保存しても変わることなく
*常用無障 常に効力を発揮する
日本の香り文化は、性別や年齢などに関係なく全ての人が平等に触れることのできる文化です。
これからも、皆さまと共に香りの効用を分かち合いながら、大切に受け継いでゆきたいと願います。
5月7日・8日のアートミックスジャパンにて、30個限定、桐箱入りを販売します。
*初日の5/7に売り切れとなります場合もござます。ご了承くださいませ。
御問合せ 090-8616-9484 調合・担当者直通
亀田縞の匂い袋「追い風用意」のページはコチラ

今回使用した天然香料です。
ラベンダー:シソ科。新潟市江南区の畑で育てたラベンダーの花を乾燥させたもの。
ストレスの緩和に役立ち、香りによるリラックス効果により心身ともに癒され気持ちやわらぎます。
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白檀(サンダルウッド)インドマイソール地方産:ビャクダン科の半寄生常緑高木の幹や心材が香ります。
龍脳:インドネシア フタバガキ科の常緑高木から採取される白色の結晶。香料以外にも防虫剤として、薬用としては去痰薬として使用される。
丁子:インドネシアなど、フトモモ科のチョウジ木のつぼみを乾燥させたもの。香料以外ではクローブと呼ばれ、スパイスやたばこのフレーバーとして有名です。歴史的に非常に貴重とされたもので、薬用として鎮痛薬などに使用される。
桂皮:シナニッケイ、セイロンニッケイの桂皮を乾燥させたもの。シナモンやカシアを呼ばれ、お菓子のフレーバーなどに良く使用される。薬用としては健胃薬として使用される。
大ウイキョウ:モクレン科の常緑樹、唐樒の実を乾燥させたもの。スターアニス、八角としてスパイスに用いられている。防腐剤、健胃薬として使われている。
藿香(カッコウ):シソ科の多年生植物を乾燥させたもの。精油はパチュリと呼ばれ、香水のベースとして利用される。薬用としては、健胃薬、風邪薬として使用。
山奈(サンナ):ショウガ科の植物の根・茎を輪切りにし、乾燥させて利用。健胃薬としても使用されている。
甘松(カンショウ):オミナエシ科の草木の根・茎。調香の際入れると香りに奥行きが出る。